2.変わらない女

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「なんですか」 角を曲がる。アパートが見えた。もうちょっとで着く。 「吉村さんの彼氏。どんな奴?」 「……え、急ですね」 「浮気するような男、どんな奴か興味あるだけ」 「……、」 それを知ってあたしをバカにするネタにするんじゃないだろうか。なくもない可能性を考えて黙っていれば彼の双眸がこっちへ向く。 「吉村さんがどんな奴と付き合ってるのかも」 「……」 「俺と別れた後に」 ドクン、と激しく鼓動した心臓。 彼はやっぱりちゃんと記憶していたらしい。あたしを昔付き合っていた女だと。ただのクラスメートじゃなかった。 視線が絡んだまま、お互い心を探るように見つめ合う。歩くスピードが落ちたことで、あと少しで着くアパートを遠くに感じる。 「……どんな奴って聞かれても……」 「何。すげーブサイクとか?」 「ブ、ブサイクって」 「ゴリラみたいな奴と付き合ってんの?」 どんな奴だよそれ。呆れた顔を宙に向け、「んー……」と唸りながらも足は前へと進んでいる。
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