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「……運動好き、な感じ」
「何だそれ」
「サークル入ってるから。フットサルの」
「ふーん」
「あと、人懐っこいかも」
「それは浮気するな」
何とも適当な返しに苦笑いを浮かべる。
こういう性格だから浮気するとか、そんなの浮気した後だから言えることだ。まさか自分の彼氏が4度も浮気するような人なんて、付き合い当初のあたしは思っていなかった。
活発で、よく喋って、顔が広そうな人だとは思っていたけど、その交流の広さが浮気に繋がるとは。
「嫌になっちゃうよね」
はは、と自分でも笑えてしまうほど。視線を下げたまま笑えば、思ったよりも乾いた笑い声で妙に恥ずかしくなる。
だけど、横にいる彼は揶揄することはなく、それどころか真面目なトーンで言葉を紡いだ。
「大事にされてねぇんだな」
「え……、」
「アホらしいな、ホント」
「……」
「壊せばいいのに、そんな関係」
「……っ、」
別れた方がいいって、明日香に何度も言われているのに。彼に同じことを言われたら泣きそうになってしまうくらい、胸の奥の方に沈んで溶けて。
心に深く染み込んで、ジワ、と痛みが広がって。嗚呼、あたしは傷付いてるんだって今更分かった。
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