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「あんなに美人で可愛くてスタイル抜群な子が近くにいて、浅倉君が手出さないなんて信じられない」
「…、吉村は俺をなんだと思ってんの」
「可愛い子好き…」
「………、」
即答した。浅倉君が何とも言えない表情であたしを睨む。
直後、浅倉君は脱力感を漂わせて息を零した。
と。
「っ、!」
いきなりムギュっと顔を掴まれた。腕が解放された代わりに、今度はその手で思いきり頬を挟まれる。
目の玉が出るほど驚いた。予告なしに顔を掴むなんて失礼すぎる。
あたしの顔を片手で容赦なく掴む浅倉君はおかしそうに口元が笑っている。なんて奴だ。
否が応でも唇がタコのような口の形になっているのを見て笑っているのか。唐突に顔を掴まれ、そんな面白い顔に無理矢理されるなんて。屈辱すぎる。
「っ何すんの…?!」
「この口がわけ分かんねえことばっか言うから腹立っちゃって」
「ッ、離して!」
「無理」
「離せ!」
「やだ」
両手で浅倉君の胸をバシバシ叩けば、それに比例するように手の握力が増す。あたしの顔がどんどんブサイクになってしまう。
好きな人にこんな悲惨な顔を晒される自分が可哀想すぎた。
これ以上顔が潰れるのを防ぐため暴れるのを止める。
大人しくなったあたしを上から見下ろす浅倉君が不愉快でならない。
「可愛い子ね。好きだよ、俺」
「……認めてるじゃん」
「でもそれは好きな子に限るよ」
「…日南志保さんじゃん」
「バカ。とりあえず黙れって」
「(…バカ、…)」
突然の暴言に唖然としてしまった。
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