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王国から遥か西、確かな神を信仰する法律統治国家。
此処では神を主君とし、その下で神官による法律統治が施行され、世界でも平和を確立した大国。
『信仰国セルフィスガンマ』
この国では多くのギルドが冒険者を雇い、国に迫る危険や、国が栄える資源の獲得に力を注いでいる。
その中の第3ギルド「水銀の鈴」に所属する青年、フロスト・フォン・フレイ。
その絶大なる才能と、謙遜を知らない豪胆さ、そして並ぶことを許さない実直さが評価され、最年少にして、セルフィスガンマの最年少記録で白銀級冒険者として登録されている。
冒険者はクラス訳として、銅級、白銅級、銀級、金級、白銀級、白金級、そして煌金級と連ねられている。
名誉も実力も兼ね備えた彼はそれでも更なる上を目指している最中、ゴールドラッシュという冒険譚の流通と共にそれに伴うクエストが増加し、彼もそのクエストに手を伸ばす。
しかしその現場となる森は闇深き深淵、モンスターの巣窟にして、未開の地。
今まで人が踏み入ることを禁じられたその森は、彼の想像を遥かに越えていた。
そして命の危機を察した彼の前に現れた少女。
麗しきその容姿に、潤ったような金髪。
まるで煌金色の輝きに見蕩れた彼は、今まさに新たな旅の道連れとなることとなったのだ。
「僕はフロスト・フォン・フレイ。 略称としては”エフ”と呼ばれている」
「そうなんだ、フレイだね。 私はユーフィーでいいからね」
「そんないきなり馴れ馴れしくなんてなれないぞ。 しかし洒落た名前だね、この星に因んだのかな」
「なんか同じこと言われたことあるなぁ。 そんなに洒落てるのかな」
うら若き少女は顎に指を当てて、空を見上げながら歩みを進める。
その1つ1つの所作に心を奪われる少々歳上の青年はゆったりと近付く強大な存在を感知すると、ユーフィリアの前に腕を伸ばした。
「待って、とても恐ろしい存在が近付いてきているよ」
「あぁ、それはね……」
私はくすりと笑い、フレイはそれを見て、疑わしい眼差しで見つめてきた。
何処か大人びた端正な顔立ちがペースを崩されて、隙を見せる慌て顔は可愛らしい。
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