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終刻
……よぉ、別嬪さん。お前の最初の男は帰したぜ? 要らんだろう?
……要らない要らない! 顔も覚えていないのに! お前さまが背負ってくれて良かった。
……お前がちゃんと来れて良かった。しっかり掴まんなよ。
……あの紅葉にね、力を貸してもらったの。最期だからって、こんなアタシに力を貸してくれたの。
……それじゃあ、待ってたら見届け人としてここに来るかな?
……行く場所が違うんだって。だからアタシ達はちゃんと逝きなさいってさ。
……そいつは残念だ。閻魔様の前で仲人になってもらいたかったのにな。
……うふふ、バカ言ってないでちゃんと渡っておくんなさいよ? 落としちゃ嫌よ?
──ちゃんと、ちゃんと逝きなさい。
──凪いだ風と燃える紅が二人を待っているから。
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