1. 痴漢に尻を揉まれた最悪の朝

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1. 痴漢に尻を揉まれた最悪の朝

おれ、狸木 透(まみき とおる)は、(…因みにたぬきじゃないよ、まみき、だよ)巷で有名な男子校、私立翔苑(しょうえん)学園に通って2年になる。 山中の緑葉樹に囲まれた学園だけど寮と通学の選択制になっていて、おれは隣市の出身で通えない距離じゃないのでちょっと無理してチャリと電車とバスに乗り継いで通学している。…ちょっとじゃ無い気はするけどね! それで今は、朝の通学通勤時の混雑電車内なんだけど、なんか下半身がムズムズすると思ったら、おれの尻を誰かが揉んでいるようで…。 (痴漢?) 心で思うが、おれは性別は男だし隣には綺麗なお姉さんがいるので間違ってるんじゃないかと思うんですけど…いやもしかしてこのご時世、男に興味もある痴漢とかも……てか、むぎゅ~って尻を揉み掴んだこの痴漢!尻の桃に握られた形の痕が付いたらどうしてくれるんだ、言い訳するの大変なんだぞ! ブレザーの裾を捲られたと思ったら手の動きが止まった。勘違いしたことに気が付いたのか、馬鹿な痴漢め! などと言ってられない、隣のお姉さんに移ると行けない。 くるっとおれは振り返ろうとしたら、この痴漢の腕を掴んだ勇敢な男の人が現れて、痴漢(へんたい)は次の終点で駅員に連れて行かれた。 なんて鮮やかなんだ…イケメンか。
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