筆と便りは使いようのようです。

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ホラー小説家、『茂良』。 苗字だけのシンプルなペンネームとは裏腹に、ドロドロと酷くへばりつくような濃厚なホラーは非常にグロテスクで、新人と揶揄されながらも多くの人気を呼んでいた。 その素顔を見た事があるのは編集長と彼の担当の編集者だけ。 全くメディアに顔を出さず、本当に存在しているのかさえ定かになっていない。 実は彼は幽霊で、実体験を書いては送り続けており、本にすることで成仏しようとしてるのではないのだろうか。 そんな根も葉もない噂も流れていた。 噂といえばもう一つ、こちらも突拍子もない摩訶不思議な噂がある。 漫画の影響かアニメの影響か、年端も行かぬ子が作ったのか、どちらにせよ茂良にははた迷惑な噂なのだが。 『不可思議で不気味な悩み事を、ファンレターとして茂良に出すと解決してくれる』 ……そんな噂が、まことしやかに世界中に広がっていた。 ( ・∀・) ( ・∀・)「まぁ、本当のことなんだけどさ」 筆と便りは使いようのようです。
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