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弟子入り
「その年で既に精霊を従わせておるとは恐れ入る。可愛い孫娘は未だに精霊を感じる事すら出来ておらぬというのに」
「お爺ちゃん、酷いわ! 母上だって私の歳ではまだ精霊を感じられていなかったのよ!」
「痛い所を突かないでよ。それでも翌年にはちゃんと精霊を従えられる様になったんだからね、私は」
「話が逸れておるぞ。今は孫の今後についてじゃろうが。ソナタは少し黙っておれ」
「ぶーぶー。可愛い娘に優しくないぞー」
「さて、御主についてだが、選択肢は三つ有る。好きなものを選ぶと良い。一つはこの里に移り住んで次期村長としてワシの元で修行する事」
「私は反対よ!」
「話は終わっとらん、お前も黙っておれ。まったく姉妹揃って喧しいわい」
母様も美女も老人に対して文句を垂れているが無視されている。話の続きが気になるので二人は黙っていて欲しい。
「一つは里の娘と結婚して子孫を残す事」
おい、まだ毛すら生えてない児童に何を言っているんだ。
「一つは愛孫娘に精霊を従えられる様に修行をつける事」
何れも無茶振りすぎて笑える。しかし、年下に教えをこうのは彼女が嫌がりそうな気がする。
「嫌よ、こんな生意気なガキンチョに頭を下げたくないわ!」
ほらやっぱり。なら選択肢は無いも同じ。今から里の娘さん達とイチャイチャさせて貰おう。
「ちなみに、この里に婚約者が居らんのは愛孫娘だけじゃからな」
何と言う罠か。抱え込む気満々である。せめて自分に靡く可愛い娘と一緒になりたいです。
「くぅ、私に精霊を従えられる様にシテクダサイ」
最後棒台詞で俺に頭を下げる彼女、余程俺を旦那にしたくないらしい。此方も願い下げである。
「彼女が自分に師事するのなら、上下関係は師弟と言う事で宜しいでしょうか?」
今、頭の中で閃いた事を実現するには、師弟の関係はかなり美味しい話になるので、確認を取る。
「ふむ、問題なかろう。愛孫娘よ、精霊を従えられる迄弟子として師の教えには従う事。村長として厳命する」
顔をしかめっ面にしながらも老人の言葉に従う様子を見せた彼女を見て、母様に目配せする。
「仕方ないわね。婚約なんてまだ早いし、取られるよりはマシね。家で預からせて貰うわよ?」
「家の娘、この際だからこき使って。少しはおしとやかになって欲しいから」
美女さんや、娘に容赦ないな。彼女涙目ですよ。こうして、里から家路に着く迄ドナドナ状態の彼女は我が家にしばらく居候する事になりました。
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