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「そうか?」
ただなんとなく知りたいと思ったから聞いただけだったんだが。
「ん、まー……しいて言えばご飯を一緒においしく食べてくれる子かな」
そんな簡単な条件なら立候補が多そうだ。
「ふーん……」
「聞いといて、興味なくすのはやくない?」
田中が笑う。
いつの間にか茹で上がったパスタとたらこが絡んで皿へと盛り付けられる。
まじ、うまそう。
「味見する?」
柴崎が口を開けた。
「もー仕方ないね」
田中が食べさせてくれた。
「お、うまっ」
「だろ? ……って、付いてる」
「え、どこ……?」
チュッと音がして柴崎の瞳が見開かれた。
「とれたぞ」
あまりにもナチュラルに唇を奪われたわけだが。
「……そっか、サンキュ」
頭が真っ白になって、なぜかお礼を言う羽目になった。
その後何事も無かったように食べた、たらこパスタの味は無味無臭にしか感じることが出来なかった。
田中との距離感がつかめない。
女じゃねーし、ベロチューじゃねーし、気にしすぎるのもなんか違う。
それなのに心臓が一々うるさい。
イライラする。
え? 田中って男が好きなの?
「柴崎、眠れないの?」
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