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柴崎は小さく頷くと食堂を後にした。
柴崎はため息をつくと田中を睨みあげた。
田中も柴崎の不機嫌が伝わっているのだろう。
困ったように笑っている。
田中の隣には女が二、三人群がっていた。
柴崎の不機嫌をものともせず、むしろ柴崎はいないものとして女たちは田中に話しかけていた。
甘えた甲高い声を聞いているだけで吐き気がするのに、あろうことか女どもは香水をつけてやがった。
今日の鯖煮込み定食がまずいのは明らかにこいつらのせいだと確信した。
田中とメシを食うのは正直、楽しい。
メシは一人で食うよりも人と食った方がうまいということを田中に教わった……たぶん。
ただ、現在田中を取り巻く環境は、こんなことを言えた義理ではないが好きではない。
また、我慢をする義理もない。
柴崎の望みはただひとつ。
とにかく穏やかにメシを食いたい、それだけ。
柴崎は携帯を手にとるとメールを打った。
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宛先:田中
件名:
本文:ーー最悪。死ね。
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俺の有意義な食事の時間を邪魔するなら、田中も……いらない。
柴崎が立ち上がろうと箸を置くと、田中と女子の会話が終わった。
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