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嬉しそうに照れている田中が何故に自分を基準に話をしているのかは柴崎にはまだわからなかった。
たまたまコンビニでノートを買う際にレジ付近にチ◯ルチョコがおいてあった。
普段は気にもとめないのだが、今日は朝からチョコレートの匂いが充満しているから気になったのだと思う。
二つ残っていたので、二つとも買って教室移動中に一つ食べた。
口に含むと甘さが広がる。
「やっぱり甘っ」
片手に残るチ◯ルチョコを見つめた。
やはり、二つはいらなかった。
「柴崎」
聞き馴染んだ声に顔をあげるとメシ友の田中が手を振って駆け寄ってきた。
柴崎は有無を言わさずチ◯ルチョコを投げた。
慌てて受け取る田中。
「……チョコ?」
柴崎は一言「やる」とだけ告げると講義室へ向かった。
田中は口を手で覆うと口角を上げて呟く。
「あー、もー、そろそろ無自覚っていうのも困りものだね……」
田中の暗躍に柴崎が振り回されるのはもう少し先になる。
可愛いラッピングの施されたクッキーが目の前に置かれた。
「なにこれ?」
「この間のチ◯ルのお返し」
そーいえば、そんなやりとりをしたような。
手作り感満載のクッキー……
「いらねーわ」
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