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嫌悪に柴崎の顔が歪む。
明らかに女子の手が加えられてる感満載なクッキー。
どこぞの知らない女の手垢のついたクッキーを食べるつもりはなかった。
「そー言うなって、これ作るの大変だったんだぞ」
「へー……」
思わず田中を見る。
「言っとくけど、甘いの嫌いなおまえにも食えるように最善は尽くしたつもりだ」
「お前……どこ目指してんの?」
柴崎は肩を揺らし笑うと、田中も笑う。
イケメンでありながら無駄に女子力を発揮した田中に柴崎も仕方なく応えクッキーをひとつ口にした。
「うま」
田中は柴崎の頭をワシャワシャ撫でると「また作ってやる」と言って満足そうだった。
あれ? でも、なんか、俺らおかしくね?
「なー?」
最近、田中が柴崎宅にいることがある。
特に台所は田中の城になりつつある。
「田中って、モテるよな……」
「なにそれ、どこ情報?」
だから、自覚ないのはいかがなものか。
「まー、人よりは女の子に話かけられるかもだけど、本気で好きな子には相手にされないこと多いかな」
田中を振る女って、よっぽどいい女なのだろうか。
「田中ってどんな子が好きなん?」
「……柴崎が恋バナにのっかんの珍しくない?」
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