その瞬間
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その瞬間
「でもね、私が入ってきたら彼女、息が止まるくらいびっくりしちゃって。 その後急に『怖い、やめて』って暴れ出したんですよ。 何がなんだかわかりませんがもう話せる状態じゃなくてね」 心底残念だと言うように
瞼
(
まぶた
)
を伏せる。 「それで解放してあげようって。 だって死んじゃえば何も怖くないでしょ?」 男は実の兄のように微笑んでみせた。
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