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「…これ、何ですか?繭か、毛玉ですか」
Qは目の前の物体を見つめる。
鉄格子の先にある、Qの腰ほどまでの大きさの、丸い塊。白銀─否、淡い水色、まるで寒空を表したかのような、糸の集まりみたいなもの。
王国の地下牢獄施設の一部屋に、それはあった。
「Q、これは人間だ。いや、人間と呼ぶべきか微妙なところだが…」
隣の髭もじゃの大柄な上司が答える。
「人間、とは呼びにくい…?」
Qは首を傾げた。
「お前、『混血人』は知ってるだろう?」
「はい、人間とそれ以外の種族の間に産まれた者の総称ですね。最近『差別用語だ』と問題になっている言葉です」
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