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「・・・あ~終わった。頭痛い・・・。」
椅子に座ったまま後ろに少し仰け反ってのびをする。時刻は22時過ぎ。フロアの他の島は電気が消えている。私が最後の一人だ・・・と思っていた。
のびをしたまま目を閉じるとふいにおでこが冷たくなった。『ひゃっ!?』と声を上げ目を開けると目の前に春野さんの顔があった。おでこには彼の手があてられている。
『ち、ちょっと!?』と言うと、『頭痛いらしいから冷やしてる。』と返ってきた。2年ほど彼と背中合わせで座っているが、これか初めての会話だった。
冷たいシートや濡らしたタオルで冷やすよりもその手がやたらと心地よく感じて、しばらくそのままでいてしまった。
私がパソコンを消して出口に向かうと同じタイミングで仕事が終わったのか春野さんもついてきた。
退勤時刻を打刻してから、そういえば春野さんは帰りはいつもどうやって静脈認証しているのだろうと思い、そのまま出口を出ずに見ていると、何度かエラーが出たものの無事認証ができたようだった。
「・・・仕事中キーボード叩きまくって指動かしてるから血行良くなるみたいで、帰りは大丈夫。」
彼はボソッと呟くと出口の扉を大きく開いて私を先に通してくれた。
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