冷たい彼と熱い私のルーティーン

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2回目の乗り換えをして10分ほど乗ると自宅の最寄り駅に着く。 「体調は大丈夫ですから。遅い時間にこんな遠くまでわざわざありがとうございました。」 明日彼のデスクにお菓子でも置いておこう、そう思いながら降りたホームで頭を下げ、改札階に続く昇りのエスカレーターに向かおうとすると春野さんもついてきた。 「え!?」 「家まで送る。道暗そうだし。」 「近いから大丈夫です。ほら、電車出ちゃうから早く乗って!」 そう言ってちょうどホームの反対側に停まっていた逆方向の電車の方に彼の体を力一杯押すけれど、びくともしない。そしてあろうことか手を繋がれてしまった。 「ち、ちょっと・・・。」 「早くあんたを家に送らないと終電なくなる。ていうか、この電車30分に一本って何だよ。実家ならまだわかるけど、一人暮らしならもうちょっと都会に住めよ。」 そう言って私の手を引っ張りながらエスカレーターに向かおうとする。 「・・・な、そんなの私の勝手じゃないですか。それにこんなとこまで来ないで途中で帰ればよかったでしょ!?」 我ながらなんて可愛くないんだろうと思った。彼だって残業で疲れているはずなのにわざわざここまで来てくれたというのに。 「・・・あんたが一人で夜道歩くの想像したら、心配でたまらないんだからしょうがないだろ。家帰ったって気になって眠れない。」 繋いだ手をぎゅっと握って言われ、胸がとくん、と鳴った。
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