おじさんと僕

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 その日、おじさんと話した言葉はそれっきりだった。僕は夕方になると本をランドセルの中に閉まっておじさんに「失礼します」と言って公園を後にした。  今日の夕食はカレーだった。ママが作ってくれたカレーをお腹いっぱい食べると眠くなってしまったので僕は夕食を食べるとすぐにベッドに入って眠った。 2  次の日、また本を持って公園に行くとおじさんはいた。  おじさんはくたびれたスーツを着てくたびれた雰囲気を醸し出している。    歳は四十代くらいだろう。    僕はまた「こんにちは」と言っておじさんに挨拶をしておじさんも「ああどうも」と返事をし僕はベンチに腰掛けた。  いつものように本の続きが気になって貪るように本を読み始める。    「君は本が好きなの?」  おじさんが横から質問をしてきたので僕は「好きです」と答えた。  そうするとおじさんも「おじさんも本が好きだったよ」と答えた。  僕が「そうですか」と言うと「君が今読んでいる本も実は大好きで何度も読んだんだ」とおじさんは早口で喋った。  どうやらおじさんは焦ると早口になるらしい。おじさんの癖を一つ発見した。  
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