おじさんと僕

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  「おじさんこんにちは」 「今日もきたね」  実は図書館でおじさんに勧められた本を借りてきたのだ。僕がカバンから本を取り出すとおじさんは「それは」と言って嬉しそうな顔をしている。 「おじさんが言っていた本借りてきたよ」 「なんかありがとね」 「実は先に少しだけ読んだんだ」 「え! もう読んだの?」  おじさんは心底驚いた顔だった。おじさんは不思議だ。僕よりだいぶ大人のはずなのにいつもせかせかしていて落ち着かない。ママが見たらきっともう少し落ち着きなさいと怒るだろう。 「坊やといるとうちの子供のことを思い出すよ」  おじさんは僕のことを坊やと読んだ。僕にはちゃんとした名前があるけれどおじさんが坊やでいいならそれでいいかと思い、坊やと呼ばせている。 「おじさんにも坊やくらいの歳の子供がいてね」  おじさんはおじさん自身のことを話し出した。  おじさんにも子供がいること、理由があってもう会えないこと。それが気になって仕方がないってこと。   「会いに行ったらいいのに」  「私は悪いことをしたからね。ここから離れられないんだ。自業自得って奴だよ」  いろいろな疑問が滝の水のように溢れ出るけれどそれ以上聞いてしまうとおじさんをもっと悲しませるのではないかと思い、聞かないことにした。
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