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「チョコレート、……手作り、……」
ベッドであおむけになって、チョコレートのレシピを検索してみる。どのレシピを見ても、見てきれいな粒チョコレートは温度の管理が難しそうだ。
「も~、無理……。いくら和久田くんの為でも、不味いもの食べさせたら、後々何言われるか分からないし……」
和久田だってそんなに心が狭いわけではないと思うけど、やっぱり器用な人が作るお菓子と、不器用な紗子が自分の楽しみの為に作るお菓子では出来が違うと思うのだ。生半可な物は渡せない。
スマホを睨みつけたままじっとしていると、その手にしたスマホに連絡が入った。和久田だ。
和久田とはこの前、話すことが出来なかった時期に紗子がクリスと出かけてしまったことを踏まえて、ラインをを交換した。告白しあった後すぐに和久田が忙しくなって、連絡先の交換もままならない状態だった。会社だけでなく、顔を見てないときに連絡取れることは紗子にとっても安心材料に繋がっている。
――『今日はごめん。明日、良かったら飯食いに行かね?』
お詫びのご飯だろうか。なんだかんだ和久田に文句をつけたけど、好きになった人と一緒に出掛けられるのは、嬉しい。うきうきと返信メールを返す。
――「おごり?」
――『おごる』
テンポよく交わされるメールに気分が上がってくる。ふふ、と微笑んで、「じゃあ付き合う」と返事をする。嬉しくて誘いのメッセージを指でなぞってしまう。そんなことをしてると知られたら、重いと思われるだろうか。
重たいと思われたくない。過去、和久田が付き合ってきた恋人たちのように振舞いたい。でも紗子には何もかもが初めてだから、それは難しいのかもしれなかった。
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