浮足立つ2月

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「まあ、和久田も手作りもらえる可能性はないわけじゃないからね」 『えっ、どうやって!?』 食いつき方が、過去の恋人に対するそれと違う。この会話を松下に聞かせてやりたいと、高梨は思った。 「まずは、乙女心は繊細なんだよ。拗ねてると思うから、兎に角褒めろ。何でもいいから兎に角褒めろ」 和久田の苦手とすることだと分かっていて、それを促す。兎に角松下に自信を持ってもらわないといけない。この前年下のライバルのことも聞かされていたし、下手すると言葉に疎い和久田はエスコート上手のライバルに負ける可能性がある。此処は兎に角機嫌を取ることだ。 高梨の言葉に、それ苦手なやつ、とか、男は言葉じゃなくて態度なんだよ、とかぐしゃぐしゃ言ってる。 『いいからやれよ!? お前、ホントに松下の事好きなのかよ』 そう言うと、ぐっと詰まる和久田は、本当に松下に惚れているんだと思う。過去に面倒くさいことを言った女性たちは、すっぱり和久田に振られていた。それを松下に伝えてやりたいが、松下の性格からして逆に過去の恋人と自分を比べてしまって駄目だと思うから言わない。彼ら二人で関係を良くしていくしかないのだ。 まだ電話口でぶつぶつ言ってる和久田に、本当にお前のそう言うところ! と突っ込む。惚れているから、カッコ悪いことは出来ないんだろうなあとは、分かっていた。
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