図南の翼

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五万の歩卒を預かる、趙与(ちょうよ)の眼に信じ難い光景が飛び込んできた。 直角の壁を走る砂塵。 当然、騎馬隊などとは思わない。 あの角度を駆ける馬。それを制御する騎手などー。 砂塵の中で何かが煌めいた。鈍い鉄器の光。 戦慄(せんりつ)が走る。同時に刹那の間、自失した己を呪った。
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