図南の翼

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「敵襲‼」 叫んでいた。 斥候は随時、放っていた。慢心もないと言い切れる。 確かに中山は小国。趙の軍事力を以ってすれば、容易く陥とせる。 趙与自身は神経質な男だ。だからこそ、乱世でも生き抜くことが出来ている。   だからこそ、予想の範疇(はんちゅう)を超える、突発な出来事には苛立つ。 縦に長く伸びた軍列。幅が狭く、複雑に絡み合うように走る山道。 更に眼下には、深淵の谷。 (最悪だ)舌を鳴らす。
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