図南の翼

13/82
前へ
/290ページ
次へ
吶喊(とっかん)して進撃する十数騎。 我が眼を疑った。勇猛果敢に剣を振るう中山の兵士。その全てが年端もいかない少年なのである。 胡服と称される、夷伙(いてき)の甲を纏い、短弓から放たれる見事な騎射で次々に兵士を打ち倒していく。 肉薄すると、彼等は剣へと得物を切り替える。 (かお)を血に染めた、先陣を切る少年と眼が合った。   剛矢に射貫かれたような気魄があった。裂帛(れっぱく)の咆哮。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加