図南の翼

9/82
前へ
/290ページ
次へ
「さぁ、親父達を吃驚(びっくり)させてやろうぜ」  司馬炎の気炎(きえん)が揚がる。 「騎乗せよ」 楽毅の合図で、百名の少年兵が馬に騎乗する。 銘々が頭である、楽毅を見据える。 先ほどまで脅え震えていた、魏竜も覚悟を決めている。 「侵略者共を駆逐するぞ」 颯爽(さっそう)と馬の背に飛び乗る。 軍旅(ぐんりょ)も持たない。無名の一団は、凡そ馬が駆け降りることのできないほどの九十度の崖を猛然と駆けた。 (俺は翔ぶ。大鵬のように)
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加