廉頗

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気配が変わった。闘志が練り上げられ、聚斂(しゅうれん)していく。 怖気が走った。瞬間、鳥が羽搏いたような音を確かに聞いた。 何が視界の端を亜高速で通り過ぎた。 右耳が熱い。呆然と触れる。右耳から血が流れている。 いや、違う。あるべき耳の感触がない。 見遣る楽毅。あったはずの二本の槍が一本になっている。 呻く声。振り返ると、麾下の喉元に槍が突き刺さっている。
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