2.この企画を立ち上げるきっかけ

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2.この企画を立ち上げるきっかけ

 結構前の話ですが、作者さんの集まるコミュニティで、「他の方の作品を読む時、誤字脱字が気になりませんか?」と訊いたことがありました。  その時に数人の方から「スルーするので気になりません」と言われ、気になると答えた方が一人もいなかったので、非常に驚いたのを今でも覚えています。  何故なら私は、大好きな作家の大好きな作品で、四冊分の文章ボリュームの中に一誤字を見つけただけでも、残念な気持ちになってしまうからです。  例えるならば、大好きな作品を映画館で見ていて、途中で私の視界の隅っこにいるお客がスマホを弄り始め、そのブルーライトで映画の内容を邪魔されたような気分になります。(ブルーライト=誤字)  この場合、集中力の高い人はスルー出来できるのでしょう。しかし私は集中力が続かないor切れやすい方なので、ブルーライトが気になってしまい、「映画のチケット代を少し割り引いて欲しい…」とか思ってしまう派なのです。お金を出してまで楽しみに見ていた作品なのだから、という意味で。  でもこの時はまだ「私だけが神経質で心が狭いだけか」と思い、自分の性格だけの問題だと思っていました。しかし先日、私が誤字脱字を異様に気にするのは、もしかして別に理由があるのでは? という考えに至る出来事が起きました。  それは、文章を書く知り合いに自分の作品を読んで貰った時のことですが、ある登場人物について「最初、男か女かわからなかった」と言われたのです。  私の文章力が下手クソだと言われればそれまでの話ですが、その人物が登場するシーンで私は、“大柄な男”を2回、”そう言って男は”という表現を1回使っており、3回も『男』だと明記していました。  その知人が私の作品に興味が無かったと言われてしまえばそれまでですが、私が文章を読む際、少しでも疑問があればすぐ前の文章へ戻って読んだりするタイプなので、初めにそれを聞いた時は正直驚きました。  それから暫くしてふと、「もしかしてこれは、読む速度に関係がある?」と思いついたのです。  私は↑のような性格もありますが、一般の方が驚くほどの“遅読”なのです。というのも、それに気づかされた事件がありまして、中1の頃、授業の中で担任が『走れメロス』の小冊子を一斉に読ませたことがありました。暫く経って先生が「まだ読めていない人?」と訊ねた時、私しか手を挙げていなかったのです。  もしかしたら恥ずかしくて、その時手を挙げなかったという人もいたかもしれませんが、私はその時、三分の二くらいしか読めておらず、他の人の読む速さに凄く驚き、また自分の遅さに凄く恥じ入る……という経験をしました。  速く読む方が必ず情報を読み飛ばしているとは思いませんが、必要な情報だけをチョイスして読んでいるのだとしたら、知人が私の作品を読んでああ言ったのも理解出来るなと。(性別は必要な情報だけど! 笑)  昔TVで見た『速読法』の特集で、漢字だけを凄い速さで読んでいく……みたいなことも聞いたことがあったので。速読だと感情移入は難しいようで、一般的な速度で読んでいる方がそうしているとは考えにくいですが、それでもある程度必要な情報だけをピックアップしていけるからこそ、誤字脱字もスルー出来るのかなと。
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