ハッピーメリークリスマス

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ハッピーメリークリスマス

クリスマスが明けた冬の空に雪が降り始めた。人々は期待する。クリスマスや雪が降る日には奇跡ぐらい起こってもいいんじゃないかと。当然そんなものはない。ただ、日々の繰り返しとクリスマスや雪に浮かれた人々を横目に眺めるだけだ。やがて冬が終わる。そしてまた冬が来る。奇跡を願う人々の気持ちが雪となって人々に降り注ぐ。 ある冬のクリスマスの日、青年はバイクで海へ向かった。その途中で事故を起こし、両足がなくなった。青年は気づいた。脚は重りだったのだと。パソコンで仕事を行い、嫁と一緒に日々を過ごし寝たきりの嫁といる時間が増えた。私にとって足は枷でしかなかったのだ。 青年は絵を描き始めた。「タイトルは歩み」 青年はクリスマスの日に足を捨てた。皮肉にも、足がなくなったことにより歩くことが出来たのだ。
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