疑義から確信へ

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 ────  今日は早々に仕事を終わらせ、珍しく社内の大半の人間が帰ってゆく流れに乗ってみた。  すれ違い様に目が合う一人一人に「お疲れ様です」と声をかける。  こんな時間に外に出ると、あの日を思い出すな。星に見下ろされたあの日。あの店で、彼女とぶつかった日を。  なんかもう、ごちゃごちゃと考え過ぎちまって近付きづらくなっちゃったけど……。それでも良いかもな。それくらいの方が。俺、今忙しいしな。これ以上ハマったら、ヤバい。  ヤバいと思いながらも、歩きながらまた彼女の事を考え出す。  大人になってビビって逃げるなんて、はじめてだ。しかも女の事で。  なんで、俺は彼女を好きになったんだっけ。冷たくされたいから? でも、優しい子だよな。それは間違いない。なんで、彼女が冷たいと思ったんだっけ。なんで優しいと思っている今でも彼女が頭から離れない? もう、本気だから? なんか気になるんだよ。なんか引っ掛かる。よくわからないけど、思考したくなる。何故だろうか。やっぱり本気で……。
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