疑義から確信へ

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「お疲れ様ですぅ」  あ、この感じ……。 「もうお仕事終わられたんですね! 今日こそ、ご一緒させてください」  はぁ……。やっぱり、この子達か。前もこの店で飲んでた、経理の3人組。3人とも可愛いけど、顔とか興味ない。どうせ、俺の遺伝子と金目当てだろ。  既に酒がまわっているのか、些か強引にテーブル席へと引っ張られる。腕がガッツリ捕まれていて、苦笑する。  ま、いつもヘラヘラ相手してた俺も悪いしな。少しだけ付き合うか。彼女の話も聞けるかもしれない。  話の内容といえば、ほぼほぼ俺への質問攻めだった。特に、親の話を聞きたがる。よくあるパターンだ。  間にちょこちょこと聞いてもいない自分の情報を放り込んでくるのは、俺へのアピールだろうか。  気持ちは分かるが、そのやり方では契約はとれない。  つまらなくてそんなことを考え始めていると。 「そういえばこの前、七瀬と会えました?」  ドキっと、胸が鳴る。  “七瀬”という響きに、自分でも意外な程に狼狽える。 「? この前、七瀬の事聞いてきましたよね? 何か用でもあったんじゃ……」 「あ……ああ。いや、大したことじゃない。そういえば、彼女は今日は一緒じゃないんだ?」  狼狽える自分を悟られる前に、相手に話を振る。 「え? 七瀬は……ねぇ?」  すると、ねぇ? と言われた女は「あぁ……今日は一緒じゃないですね」と言い、また別の女は「今日っていうか、一緒とか無理ってゆーか……」  そこまで言い、クスクスと笑った。つられて他の二人も同じように笑う。  ……いや、これは。嘲笑(ちょうしょう)だ。
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