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そのあとすぐに、俺はその経理部での挨拶を済ませた。
部長がわざわざ皆を集めてくれたのに、俺の挨拶は至極短いものだった。
拍子抜けしたのか、皆の頭の上に一瞬ハテナマークが浮かんだが、顔だけは良い俺に女たちは寄ってきた。
外面だけの笑顔で乗り切りながら、ふと彼女を見ると、ちょうど視線がかち合った。しかし、まるで興味がないといった様子で……すぐにその目は反らされ、誰よりも早く自分の席に戻っていった。
良い。その感じ、すごく良い!!
さすが高嶺の花。落としがいがありそうだ。
もっと冷たい目で見られたい。
先ほど念のために拾い集めておいた手紙は、俺が処分しておこう。彼女のためにも彼のためにも社内美化的側面から見ても、それが懸命だろう。
挨拶を終え、経理部を出るときに彼女の横を通ったが、1度もこちらに目を向けることはなかった。
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