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そんな彼には、少し人とは違ういわば特異な点がひとつあった。体温が、著しく低いのである。
一般的には人間の体温は三十六度半ば、低くても三十五度台で保たれている。しかし彼の体温は、常に三十四度台だった。加えて、体育の時間であれ、彼が汗をかいている場面は僕の知る限りでは一回もなかった。たまたま彼が体温を測り、その体温計を見た先生などは酷く心配するが彼は
「いつものことなので」
と例の如く笑って済ませてしまうのであった。
このことで何か不調があるか、と以前彼に聞いたことがあるが
「特に困ることはないよ。強いて言うならしょっちゅう人から心配される、ってのが困りどころかな」
ということであった。
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