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「さて、そんじゃー俺らは俺らの仕事をしますかね。オッケー出た企画の入力が終わったら自分の処理した企画書を各責任者へ返しに行って流れ解散な!」
「わかりました」
ニノマエは事務的に答えて自分のパソコンに向かって作業を始める。会計のニコはちらりと視線を向けて小さく頷いただけで返事はしなかったが、同様に作業に入った。
生徒会室は書類をめくる音とキーボードを叩く音だけが響く静寂と言ってもよい空間になる。
ニカイドウがいるときは誰もがそれなりに口を開くので和気藹々といった雰囲気の生徒会だが、あるいはニシキとニノマエだけであれば他愛ない雑談をかわしたりもするのだが、これがこの三人となると微妙に収まりが悪い。
理由は会計のニコだった。
中肉中背で細面、ニノマエのような露骨にキツい顔立ちではないのだが、しかし軽口を許さない独特の雰囲気があった。
この彼、中学のうちから商業系の資格をいくつか持っていて会計としては抜群の戦力だがいかんせんニシキに対してあまり好意的ではない。
一方ニシキも最初のうちこそいつものように悪絡みしていたが嫌な顔をするでもなくただただ相手にしないニコと話すのはさすがに疲れてきたようで、特に夏休みが明けてからは積極的に話しかけようとしなくなった。
まあ元々生真面目が服を着て歩いているようなニノマエとしては仕事中に雑談をしたいわけではないし、決して悪い環境ではないのだけれども。
暫くしてニコが手を止めて書類を片付け始めた。この手の作業はさすがに一番早い。
「え、ニコちゃんもう終わったの。早えーな! 俺まだ半分くらいだよ。少し多めに頼めば良かったなー」
ニコは感心しつつも軽口を叩くニシキを一瞥すると小さく溜息を吐いた。
「自分の分担は自分で片付けてください先輩」
「たはー手厳しい!」
「だいたい不公平感が出ないようにって均等にわけたのは先輩ですよね」
「そりゃそうだけどさあ」
ぐだぐだと口答えするニシキの態度に、横で聞いているニノマエのほうが苛立ち始めた辺りでニコが舌打ちをした。
「そういうちゃらんぽらんなところ、会長に不釣り合いなんですよね」
感情の籠った、憎々しげなその言葉にニシキとニノマエが同時に目を見開いた。
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