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Chapter 13 葛城さん
次の日も、また次の日も、そのまた次の日も、九条はいつも来る女の子と話していた。
見ている限りでは、教科書の貸し借りをしたり、一緒にゲームしていたりと、かなり親しげだ。その証拠に、九条の表情がかなりイキイキしている。
(やっぱり気になるな)
気になる。あの女の子と九条が、どのような関係なのか。メールで聞こうとするけれど、趣味やくだらない話に集中してしまって、いつも聞けずにいる。もう、九条からもドン引きされてもいい。覚悟はできた。どうせ予定では、ひとりぼっちの3年間だったのだから。
僕は意を決して、九条の元へと向かった。
「おい、九条」
「お、誠か、久しぶり!」
いつもと変わらない調子で、九条は僕にあいさつした。
「うん」
「最近来ないと思ったから、心配したよ」
──いやいや、九条、いい加減察してよ。
僕は心の中でつぶやいた。
男女が二人っきりで、しかも楽しそうに話していたら、普通気を遣って入ろうとしないって。
「それで・・・・・・」
最近よく一緒に話している人誰? と聞こうとしたときに、九条は、
「あぁ、お前、俺が女子と話してるとこ物珍しそうに見ていたから紹介するよ。彼女は3組の葛城青葉(かつらぎあおば)。小さいころからよく知る幼馴染ってとこか。ちなみに肉体関係はないぞ」
九条は彼女の紹介をした。
──え、幼馴染?
予想が少し外れた。同じ中学の同級生か女友達だと思っていたら、まさかの幼馴染みだったとは。となると、その付き合いは、小学校以前からといった感じか?
「こら明、みっともないこと言わない」
葛城さんはそう言って、明の頭を軽く叩いて続ける。
「東条くん、よろしくね」
葛城さんは丁寧におじぎをした。礼儀知らずの九条とは違って、マナーもしっかりしている。
「よろしくお願いします」
僕もおじぎを返した。
「ちょっと廊下へ出ない? 貴方に話したいことがあるの」
「うん」
僕と葛城さんは廊下に出て、空き教室へ向かった。
「おいおい、俺のこと置いていかないでよ、青葉」
「明、ちゃんと待ってなさい、貴方ならできるでしょう?」
「うぅっ・・・・・・」
悔しそうな表情で、明は僕と青葉が空き教室へ向かうところを見る。
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