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Chapter 22 九条を家に連れてきて
近所のコンビニで昼食を買い、炎天下の中、自転車を漕いで家へと帰ってきた。
帰ったとき、すぐにエアコンのスイッチを入れ、手を洗った後に、先ほど買ってきたざるそばを食べた。
(何だよ、急に怒りやがって)
僕は無性にイライラしていた。
泣きべそかいてたからなぐさめてあげたのに、勝手にキレ散らかして。意味わからない。僕に八つ当たりしなくたっていいじゃんか。
「何なんだよ、もう!」
イライラしていた僕は、箸で豪快にそばをほぐし、めんつゆの中へと入れた。
つゆにつけたそばを口の中へと入れようとしたときに、母さんが帰ってきた。
「あら誠、帰ってきてたの」
「うん。おかえり、母さん」
「何不安にさせてるの。ちゃんと学校生活送れてるじゃないの。ほっとしたわ。友達もいて」
「いや、だから、言うまでもないかな、って」
「だからこそ、言う意味があるのよ。あと、先生から聞いたんだけど、いつも一緒にいる九条くんと葛城さんって、どんな子なの?」
「どんなって言われてもな──」
人格こそは悪くない九条。だが、母さんに合わせられる人間ではない。彼にはあの内田と共通点がいくつかあるので、母さんがアウト判定を下して、付き合うな、と言う可能性もある。葛城さんなら合わせてもいいかもと考えているけれど、異性なので、いらぬ誤解を招く可能性がある。そのため、会わせることは非常に難しいのだ。
それに今の僕は、九条のことでとても怒っている。こんな調子だから、九条を家に呼べない。
「何、その2人は、母さんに会わせられない事情でもあるの?」
少し強めの口調で問い詰める母さん。
「いや、そうじゃなくて──」
今彼と少しいろいろあって揉めてるんだよね、と僕はありのままの事実であり呼べない理由を話そうとした。だが、母さんは、
「じゃあ、連れてきなさいよ。やましい理由がないんだったら」
と言ってきた。
どうすればいいの。僕は。
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