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Chapter 24 時を待つ
ホームセンターを出た。僕と父さんは、先ほど買ってきた、トイレットペーパーや洗剤などの日用品を、車の後ろ側に積み込んだ。
車に乗ったあと、父さんは車のエンジンをかけ、出発する。
橙色の光を放った太陽に照らされ、逆光になった家々。そして西側に連なる山々へと沈んでゆく夕日。車窓から見える景色は、今日という日が終わったんだな、ということを感じさせてくれる。
運転をしながら父さんは、
「学校は楽しいか?」
と聞いてきた。
うん、と僕はうなずく。
「よかった。最近の誠の表情がイキイキしてるから、そうなのかな、と思って」
「そっか。でも、今日はちょっと微妙だったかな」
「何かあったのか?」
父さんが聞いてきたことに、僕は答える。
「実は、友達怒らせちゃってね。その後個人懇談から帰ってきた母さんに、やましいことがないならその子を家に連れてきて、なんて言われた。それでその友達に、怒らせたことを謝ろうとしたんだけど、シカトされちゃって。母さんとの約束もあるから、早く仲直りしたいんだ。だけど、どうしたらいいかわからなくて、困ってる」
「そんなことがあったのか」
「うん」
「誠が謝ったことは間違ってない。だけど、自分1人であれもこれもやろうとしても、限界があるものさ。そういうときは、誰かに頼ったり、相手の怒りがおさまるのを待つしかない。母さんには後で言っておくから、今日は夕ごはん食べて、お風呂入って休もう」
「うん」
学校のことを話しているうちに、もう家に着いた。明かりがついていることから、母さんが帰ってきている。
車のドアを開け、父さんはティッシュと洗剤の入った大きな箱を持って、
「着いたぞ。荷物持ってくの手伝ってくれ」
と言って家の戸を開けた。
「うん」
僕はうなずき、トイレットペーパーとティッシュペーパーを玄関へと持っていく。
久しぶりの父さんとの会話に、僕は少しだけ心を救われた。
確かにこの2カ月、いろいろあり過ぎた。
誰かと一緒にいる、2年ぶりの学校生活。楽しいこと、うれしいこともたくさんあった。そして、「誰かといる楽しさ」、「自分を必要とする誰かがここにいる」ことを思い出させてくれた。
でも、晴れの日があれば雨の日があるように、辛いことしんどいこともある。だから今は、雨の日だと思って、止むのを待つしかないのかもしれない。
そう思いながら、たくさん買ってきた日用品を玄関へと持って行った、今日の夕暮れ。
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