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Chapter 4 孤独①
「じゃあ、行ってくるね」
「しっかり食べるんだぞ」
5連休初日。母さんと父さんは3泊4日の旅行へ出かけた。誰もいない最高の3日間が始まる。
(さて、何しようかな。あ、そうだ!)
録画していた深夜番組があることを思い出した僕は、リビングにあったテレビをつけた。
毎日忙しくて、見ることができなかったアニメや映画を、一つ一つ消化してゆく。
映画を1本、アニメを2本見終えたときには、時計の針は正午を過ぎていた。
「あ、もうこんな時間か」
僕は台所へ向かった。
冷蔵庫から、昨日買ったラーメンとねぎ、メンマとナルトを取り出す。
水の張った鍋をコンロに置いて、火をつけた。青い炎は揺れることなく、鍋の中にある水を温め続ける。
お湯が沸騰するまでの間、具を切った。
ねぎ独特の匂いが、調理器具や食器が置かれた台所の中を覆う。
「臭いな」
臭気に耐えられなかった僕は、急いで換気扇を回した。おかげで、先ほどよりも臭いの方はマシになった。
メンマの入った袋を開け、小皿に盛りつける。
その途中で、鍋が笛のような音を出しながら、湯気を出していたことに気がついた。どうやら沸騰したらしい。
袋に入っていた黄色く細い中華麺を、僕はブクブクと泡立った熱湯の中へ入れた。
麺が入ったお湯は、透明な泡から、白く、こぼれ落ちそうな、細かな泡へと変わってゆく。
「こぼれるこぼれる」
僕はお湯がこぼれないように、弱火に変えようとした。
だが、時すでに遅し、白い泡は鍋から溢れだして、コンロの回りを濡らした。
「はぁ...」
僕は一旦火を消して、コンロの周りを布巾で拭いた。
さっとゆでた中華麺を湯切りし、持ってきたどんぶりの中に入れた。そこへ、先ほどまで麺を茹でていたお湯をどんぶりに入れた。そこにスープのもとと先ほど切った具材を入れ、完成したラーメン。
「いただきます」
自分の作ったラーメンを食べてみた。
料理はたまにしかしない人間の腕前なので、母さんのようにおいしくできるわけでもなく、かといって、下手なスーパーの惣菜のように特別不味いとも感じない。とにかく、印象も何もない、ただ醤油味がするだけの中華麺ぐらいにしか感じなかった。
片付けを終えてからは、ゲームをしたり昼寝をしたりして暇をつぶした。
目を覚ましたときに時計の針を見ると、午後4時を回っていた。あっという間に、これだけの時間が経っていたんだ。
(夕食の準備しなきゃ)
僕は小遣い3000円ほどを持って、近所のスーパーへ買い出しに行った。
沈もうとしている太陽は、強いオレンジ色の光を放ち、住宅街の空を茜色に染めている。
スーパーの中では、様々な客層が品物を物色しては、カートの中に入れる。
僕は安売りしていたお弁当を選んだ。
レジで会計を済ませ、家へと帰り、お風呂掃除をして夕食を食べた。
夕食後にお風呂に入り、軽くゲームをし、日付が変わったころ寝床に着いた。
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