Chapter 4 孤独①

1/2
前へ
/36ページ
次へ

Chapter 4 孤独①

「じゃあ、行ってくるね」 「しっかり食べるんだぞ」  5連休初日。母さんと父さんは3泊4日の旅行へ出かけた。誰もいない最高の3日間が始まる。 (さて、何しようかな。あ、そうだ!)  録画していた深夜番組があることを思い出した僕は、リビングにあったテレビをつけた。  毎日忙しくて、見ることができなかったアニメや映画を、一つ一つ消化してゆく。  映画を1本、アニメを2本見終えたときには、時計の針は正午を過ぎていた。 「あ、もうこんな時間か」  僕は台所へ向かった。  冷蔵庫から、昨日買ったラーメンとねぎ、メンマとナルトを取り出す。  水の張った鍋をコンロに置いて、火をつけた。青い炎は揺れることなく、鍋の中にある水を温め続ける。  お湯が沸騰するまでの間、具を切った。  ねぎ独特の匂いが、調理器具や食器が置かれた台所の中を覆う。 「臭いな」  臭気に耐えられなかった僕は、急いで換気扇を回した。おかげで、先ほどよりも臭いの方はマシになった。  メンマの入った袋を開け、小皿に盛りつける。  その途中で、鍋が笛のような音を出しながら、湯気を出していたことに気がついた。どうやら沸騰したらしい。  袋に入っていた黄色く細い中華麺を、僕はブクブクと泡立った熱湯の中へ入れた。  麺が入ったお湯は、透明な泡から、白く、こぼれ落ちそうな、細かな泡へと変わってゆく。 「こぼれるこぼれる」  僕はお湯がこぼれないように、弱火に変えようとした。  だが、時すでに遅し、白い泡は鍋から溢れだして、コンロの回りを濡らした。 「はぁ...」  僕は一旦火を消して、コンロの周りを布巾で拭いた。  さっとゆでた中華麺を湯切りし、持ってきたどんぶりの中に入れた。そこへ、先ほどまで麺を茹でていたお湯をどんぶりに入れた。そこにスープのもとと先ほど切った具材を入れ、完成したラーメン。 「いただきます」  自分の作ったラーメンを食べてみた。  料理はたまにしかしない人間の腕前なので、母さんのようにおいしくできるわけでもなく、かといって、下手なスーパーの惣菜のように特別不味いとも感じない。とにかく、印象も何もない、ただ醤油味がするだけの中華麺ぐらいにしか感じなかった。  片付けを終えてからは、ゲームをしたり昼寝をしたりして暇をつぶした。  目を覚ましたときに時計の針を見ると、午後4時を回っていた。あっという間に、これだけの時間が経っていたんだ。 (夕食の準備しなきゃ)  僕は小遣い3000円ほどを持って、近所のスーパーへ買い出しに行った。  沈もうとしている太陽は、強いオレンジ色の光を放ち、住宅街の空を茜色に染めている。  スーパーの中では、様々な客層が品物を物色しては、カートの中に入れる。  僕は安売りしていたお弁当を選んだ。  レジで会計を済ませ、家へと帰り、お風呂掃除をして夕食を食べた。  夕食後にお風呂に入り、軽くゲームをし、日付が変わったころ寝床に着いた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加