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「! ま、待って…」
出ていく背中を慌てて追いかける。
「ねぇ、篠澤くん…!」
足早に会計を済ませて出ていく彼の後を必死に着いていく。
「待っ…」
店通りを抜けて、近くの公園にさし掛かろうとした時。
急に立ち止まった彼の背中にぶつかる形で飛び込んでしまった。
「いっ?!」
ぶつけた鼻を押さえて顔を上げると、彼はまっすぐ前を向いて止まっている。
(ど、どうしたんだろう?)
少し下がって離れ、彼の横から顔を出すと、篠澤くんの前には蓮見くんが立っていた。
「…なんでお前がここにいんの」
篠澤くんの鋭い声が蓮見くんに向けられる。
「…お前んとこの生徒が、うちの学校に来てるって噂になってたから、もしかしてと思って」
「…へぇ?追いかけてきたってわけ?」
篠澤くんは鼻で笑うと、私の方をくるりと振り返る。
(え──)
瞬間、彼の腕の中に閉じ込められた。
「あぁ、そうそう。俺ら、付き合うことになったんだよね。だから祝福してくんない?」
「?!」
突然の篠澤くんの言葉に目を丸くする。
「えっ、何言っ…」
言いかけた口を塞ぐように、更にギュッと胸元に抱き込まれて何も言えなくなる。
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