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「彼女のことは…藤本だけは、篠澤でも譲れない」
(…!)
伸ばされた蓮見くんの手が、私の腕を掴んだ。
「何度も言うよ、藤本。俺は…君のことが好きだ。これからもずっと、隣でいて欲しいのは藤本だけなんだ」
「蓮見くん…」
「お兄さんのことを忘れられなくたっていい。俺がそれを乗り越えられるくらい、藤本のこと大切にするから…。俺──」
言いかけた蓮見くんの手を、篠澤くんが剥がす。
「触んな」
「篠澤…」
「お前の言いたいことは分かった。でも、俺だって彼女に関しては譲る気ないから」
両手を両側からグイグイと引っ張られ、どうしていいか分からなくなる。
「…っあ、あの…?」
(ていうか、二人とも私を置いて話を進めないで…!)
「…梨々ちゃん?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには悠ちゃんが立っていた。
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