85人が本棚に入れています
本棚に追加
Episode 15.選択
(な、なんてタイミングで…!)
「ゆ、悠ちゃん…」
はっと気付いて、慌てて二人の腕を振り払う。
「…もしかして、なんか揉めてた?」
悠ちゃんが尋ねてきた。
「もっ…揉めてない!揉めてないよ?!フツーに話してただけ!」
「…そう?」
(ああああ、あの目は絶対怪しんでるぅぅぅ…!!!)
「だ、大丈夫!全然!何も!」
「ならいいんだけどさ…」
悠ちゃんの視線が、2人の男子に向く。
「えぇと、蓮見くんと…君は?」
「…誰すか、あんた」
篠澤くんが悠ちゃんをジロっと見た。
「し…篠澤くんっ!そっ、その人は私のお兄ちゃんなの!」
二人の間に入って場の雰囲気を変える。
「…お兄さん?」
篠澤くんが私と悠ちゃんの顔を交互に見る。
「……………。」
(あ、これ全然信じてないやつだ。
顔に『全然似てるとこねぇ』って書いてる)
そりゃそうだ。
私が勝手に『兄』と思っている人なのだから。
「あ、兄っていっても幼なじみのね!?当然血の繋がりとか全然ないし、私が勝手に決めて尊敬してるだけで…っ」
説明途中の私の前に、蓮見くんが進み出た。
「藤本になんか用ですか?」
さっきより真面目な顔で蓮見くんが悠ちゃんに尋ねる。
「たまたま近くを通りかかっただけだよ。そしたら君らが居ただけで。でも梨々ちゃんが困ってるように見えたから」
悠ちゃんの答えに、蓮見くんが僅かにぴくりと反応した。
最初のコメントを投稿しよう!