Episode 15.選択

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不意に私を後ろから抱き締めた蓮見くんが、悠ちゃんに言い放った。 「なら、俺が藤本をもらってもいいですよね?」 「…!」 「行こう、藤本」 蓮見くんが、私の手を取って走り出す。 「…藤本、強くなれ」 前を走る蓮見くんが言う。 「挫けそうになるんだったら、俺が支える。前を向けるようにずっとそばにいる」 「…でも…」 「俺の事を気にしてんなら大丈夫。俺はこれからもずっと、藤本のそばにいるって決めてるから」 「…っ」 走りながら、蓮見くんが掴んだ私の手にぎゅっと力を込めた。 どうしてだろうか。 さっきまで涙でぼやけていたはずの世界が、キラキラして見える。 「あの人を忘れていくために、俺と一から全部やり直していこう。それで藤本が前を向けるようになったその時は、俺と結婚しよう」 「!?」 突然飛んできた『結婚』のワードに、思わず足に力を込める。 「待って!今…け、結婚…て言わなかった…?」 立ち止まって尋ねると、蓮見くんが笑う。 「言ったよ」 「!! 何サラッと言って…!」 「そんくらい本気だってこと分かってもらう為だよ。アプローチ、するって言ったでしょ?」 蓮見くんが、私の手の甲にキスを落とす。 「な…っ」 ビックリして慌てて手を引っ込める。 「諦めてね藤本。俺、本気出すからにはもう容赦しないから」 「ちょ、ちょっと待って…」 「いいよ。藤本を諦めること以外なら、どれだけでも待つよ」 「ほ、本気、なの…??」
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