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「嘘言ってどうするの?ずっと言ってる事だし、嘘なんて俺に何の得もないでしょ?」
「……〜〜っ…」
どうしよう。
目の前がクラクラしてきた。
──『結婚』──
考えてもなかった言葉に、頭の中が沸騰して爆発したように真っ白になる。
でも、本当に蓮見くんとなら幸せになれるんじゃないか…なんて、一瞬考えてしまった。
でも、いいのかな…。
そんな風に考えるなんて、きっとどこかでバチが当たるかもしれない。
「ねぇ、藤本」
蓮見くんが顔を覗き込んでくる。
「ただ泣くより、幸せになって笑う方が藤本には似合ってるよ。俺はそう思う」
「で、でも私は…」
「大丈夫。藤本にもちゃんと幸せになる権利はあるんだ。…なんて、綺麗事かもしれないけどさ。この世界に幸せになっちゃいけない人なんていないんだよ」
蓮見くんの言葉が温かくて、また涙が出る。
「あ、あれ?もしかして泣かせちゃった?!」
「…ちがう……違うの……」
蓮見くんはそっと私を抱き締める。
「…今、言いたいこと、全部吐き出せばいいよ。それで、楽になるならいくらでも泣けばいい」
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