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「…ずっと、好きだったの…。ずっと好きで、忘れられないの…」
「うん」
「でも、ずっと悠ちゃんも辛かったと思う…。お姉ちゃんも…みんな、ずっと苦しかったと思う…」
私だけじゃない苦しみ、辛さ。
どれも抱えるものは皆同じ。
ただ、その気持ちが行き場をなくして彷徨っているだけ。
「…叶わないって分かってるのに、好きなのをやめられないのは、私のせい…」
私が、いつまでも諦められないから。
いつまでも、思い出にしがみついているせい。
「こんな事してたって、悠ちゃんが振り向くわけなんてないのに…」
──好きだった。
自分の今までの人生をかけるほどに、好きだった。
どんな時も、どんな日も。
いつだって、悠ちゃんがそばにいたから。
そばにいて、笑ってくれてたから。
私の人生は、ずっと彼のおかげで輝いていたから。
「私…夢でもいいから…一度でいいから…悠ちゃんに振り向いて欲しかったよ…!」
叶うことのない、想い。
抱えるだけどんどん膨らんで、重くなって。
どんなに足掻いたって、もうこの気持ちはどこへも行けない。
「わあぁあぁ…っ!!!!」
堰を切ったように一気に気持ちが溢れる。
『さよなら』
そう簡単に切り離せるものなら、どれだけ良かったことだろうか。
その言葉を本人に向けるには、私はまだ未熟すぎる。
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