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Episode 16.気持ちの裏側 side 悠多
「…追いかけなくていいんすか」
ぼそっと隣から声を掛けられ、顔を上げる。
「…追いかけたって、何も変わらないよ」
呟くように返すと、篠澤くんが頬を軽く掻く。
「じゃあ、なんでそんな落ち込んだ顔してんですか」
「きっと俺が…また傷付けただろうから───…」
──『お兄ちゃん!』──
いつも俺の後ろを着いて回る、妹のような存在。
そんな君が、俺には愛おしくて。
でも、同時に眩しかった。
純粋で、ひたむきで。
自分に真っ直ぐで、素直で。
俺には全く持ってないものを持っている君が、俺はずっと羨ましかった。
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