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過去に、美人で気が強い幼なじみの茉莉花に恋をしていた。
でもそれはたったの一度だけの、想いを伝えることなどなく終わった初恋だった。
ほんの悪戯心で茉莉花を傷付けたせいで、7年もの間連絡が途絶えた。
大人になって、違う道を歩んで。
同じ空の下で同じように時を過ごし、互いの見つめる道の先など知らずにいた。
茉莉花と過ごしていた時間は、もう自分の中で思い出として決着をつけて。
なのに、茉莉花は偶然現れた。
「あたし…ゆーたのこと、ずっと無視したままで、結局そのまま会えずに、今まで……。ごめん…」
しばらく茉莉花と話して、やっぱり自分の気持ちを再確認した。
『茉莉花にはずっと笑っていて欲しい』と。
過去に戻れるなら、茉莉花を傷付けたあの日の自分を殴ってやりたい。
「…もうめんどくさい事は置いといて、もう1回『幼なじみ』でいた方が、俺ららしくね?」
どんな形であれ、過去を振り返らない方がいい。
引き摺ったって、何も無い。
ただ、茉莉花を傷付けた事実だけが残るだけだから。
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