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──「俺、茉莉花のこと好きだったよ」
下手に飾らずに、真っ直ぐ告げた。
「…は?」
茉莉花は驚いた表情を見せる。
「今更だって思うかもだけど、本気で茉莉花が好きだった。あの時は、傷付けてごめん。思えばあの時の俺はすっげぇガキだったと思う」
「……」
「でも、もう過去に言い訳なんてしない。逃げる事もしない」
「悠多…」
「茉莉花がいて良かった。茉莉花に出会えて良かった。今は心からそう思えるよ。茉莉花もどうか、幸せに」
茉莉花に背を向けて歩き出す。
これでいい。
胸の内の突っかかりがようやく取れて、爽やかな気分だ。
「……何よ、それ…今更言うなんて…バカじゃないの…」
茉莉花の零した一言なんて、知らずに。
頭の中では梨々ちゃんのことを思い浮かべていた。
(…この選択が、俺にとっての幸せだ)
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