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でも、どこで間違えたか。
目の前で茉莉花が泣いていて、梨々ちゃんも今にも泣きそうにしている。
「お願いよ、梨々…好きなら、手放さないで」
茉莉花が見たこともない顔で泣いていて、それを梨々ちゃんが宥めようとしてる。
「…お姉ちゃん、私のためを思って我慢してるなら、やめて。それは逆に、私にとっては辛いよ」
梨々ちゃんが、少し辛そうに笑う。
「二人とも、もっと正直になってよ。私、二人が笑っていてくれなきゃ、幸せになれない!」
「──!」
梨々ちゃんは、どうしてそこまで他人のために自分を犠牲にできるんだろうか。
今だって辛いはずなのに、茉莉花と俺の前で笑って見せてる。
なんて君は───強いんだ。
君が告白してくれて、俺は茉莉花の事など今はどうも思ってない、なんて口だけの言い訳を聞かせようとしてた。
それでも、君は俺を『大切』だと言ってくれた。
それも、全部"好き"だからと──────
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