Episode 21.どうか…

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「っ…」 梨々ちゃんが、怒ってる。 目にたくさん涙を溜めて。 「…なんで…、なんでそんな事言うの…」 「梨々ちゃ…」 「どうして私が忘れようって決めた時に、そんな風に言うの?」 「…ごめん」 「ずるいよ…。なんで今になって、好きだなんて言うの…!」 こんな風に泣かせたかったわけじゃない。 「ごめん…」 …馬鹿だな、俺は。 何がしたいんだろう。 もう俺は、君を傷付ける存在でしかないんだ。 「…ただ、好きだって伝えたかったんだ。梨々ちゃんが傷付くって分かってても、言いたかった…。困らせるって分かってても…もう自分に嘘はつきたくない」 「悠ちゃん…」 「…俺を選んでくれなんて言わない。蓮見くんの所へ行かないでなんて我儘も言わない。ただ、少しでも俺の気持ちを知って欲しかった。俺は…梨々ちゃんに幸せになって欲しいから」 欲しいと思って手を伸ばしても、もう届かないから。 だから、あの日のことは俺の中での秘密にしておこう。 「俺は、ずっと梨々ちゃんの味方だから」 どうか、俺を振り返らないで。 どうか、幸せになって欲しい。 君を笑顔にするのは、俺じゃない。 俺の方こそ、もう一度誰かを好きになることを教えてくれてありがとう。 本当に好きだったよ、梨々ちゃん。
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