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「はっ!もうこんな時間!先に先生に日誌渡してくる!」
「おー、気ぃ付けて〜」
時計を見て、先程書き終えた日誌を持って教室を飛び出す。
(早くしないと、いつお兄ちゃんが来るか分かんないもんね!)
たたたと軽快に走って、廊下の角に差し掛かった時。
「うおっ?!」
「きゃあ?!」
お互いにぶつかり合ってしまい、軽く吹っ飛ばされた私は、思わず尻餅をつく羽目になった。
「いっ…たぁ…」
ぶつけたお尻をさすりながら、ゆっくり身を起こすと、相手も今しがた起き上がってくる。
「いっててて…」
「あ」
私はハッとして、慌ててその人に駆け寄った。
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?!」
「や、へーき…。それより、そっちは?」
その人が困ったように笑いながら顔を上げた。
「…って、あれ?藤本?」
「は、蓮見くん!」
それは、同じクラスにいるサッカー部エースの蓮見くんだった。
(ああああああ!私ってば、学校の有名人になんてことをぉお?!?!)
学内にこっそりとファンクラブがあるというほどの人気者に、私はあたふたした。
(どこかでファンの子が見ていたら、絶対に殺される…!!)
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