【怪しい者じゃないんです】

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「一応試合前だからな。いつもは夜に詰め込んでたけど、ちゃんと朝から練習しとこうと思って」 ついでにお前待ってた、と言葉を続けた康介。 夜に一緒に走り込みに行ったりすることは今までにもあったけど、朝一緒に体を動かすのは初めてかも……。 それだけ、康介が真剣だって証拠。 「大丈夫なの? どうせ昨日も、私と別れてから夜遅くまでボール蹴ってたんでしょ?」 「大丈夫だって。授業中寝れるし」 「自信満々に言うな」 あぁでも、やっぱりいいな。 目標があるって。それに向かって努力できる幼なじみって。 へこたれていられない。私も頑張らなきゃ、って思わせてくれる。モチベーションを高めてくれる。 そういう存在がいるって、素敵なことだよね。 「ほら、グズグスしてねぇでさっさと行くぞ」 「ちょっと、何よ! その上から目線!」 ギャーギャー騒いで歩く私達ふたり。 昔は肩を並べていたはずなのに、いつの間にか目線はかなり上になってしまった。 それでも私達は、昔から何も変わってない。これからも変わらない。
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