【初めまして】

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引き寄せられるように、そっとそれを開く。 【登坂 千鶴さんへ。 初めまして。突然手紙なんて書いてごめんね。 俺、リョータって言います。 よかったら友達になってくれないかな】 字を最後まで目で辿って……思わず固まった。 友達に……って、ますます何コレ。 もし仮に……仮にだよ? 手紙を寄越した理由が告白とかだったら、まだわかる。まだ、ね。 友達なら、直接来ればよくない? 「……謎だ」 そもそも、この“リョータ”という人物に心当たりがない。 友達に“リョータ”がいないわけじゃないけど、中学の同級生だし、高校2年生になった今、交流なんてほとんどない。 ま……どうせイタズラだよね。 便箋を再び二つに折り、封筒に入れ直してクラブバッグの中にしまう。 自主練のために朝早く起きているため、この時間はどうしても睡魔が襲ってくる。 うつらうつらとして、私は机に突っ伏した。 私──登坂千鶴は、ここ、成城学園高等学校の陸上部に所属している。 強豪校ということもあり、部員はかなり多い。
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